【官能小説】痴漢ごっこ

【官能小説】痴漢ごっこ



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と、その時だった。

(えっ……うそっ……!)

痴漢の指の動きが激しくなり、わたしのクリトリスを細かい動きで刺激してきたのだ。

(やだっ、そんなにしたらイッちゃう……!)

こんなに激しいことをする予定ではなかったのだが、この状況にケンジも興奮してしまったのかもしれない。

(ああっ、すごい……なんか、いつもより上手……)

わたしはあえぎ声が出てしまうんじゃないかと不安になり、足を閉じるようにして、少し抵抗した。

しかし、痴漢の手は止まらない。

(も、もうダメっ……イッちゃうっ、あっ、ああっ──!)

ものすごい快感の波が押しよせてくる。

「うっ……くぅっ……」

わたしは荒くなる呼吸を押し殺し、声が出そうになるのを必死に我慢した。
体はビクビクと痙攣してしまったが、じっと観察でもされていない限り、気付かれないだろう。
車両の隅にいるわたしたちを、誰も気にしていないことを祈るしかない。
ちょうどその時、電車が駅に止まった。
わたしは快感の余韻に満たされた体に鞭を打ち、何事もなかったかのように取り繕うと、何気なくホームを眺めた。
そして──信じられないものを見た。
今、うしろにいるはずのケンジが、ホームを歩いていたのだ。

(えっ……ケンジ、なんでっ!?)

サッと血の気が引く。

(じゃあ、今わたしのうしろにいるのは誰……)

そんなわたしの心境などつゆ知らず、痴漢はわたしのシャツの中をまさぐっていた。
ブラジャーをずらし、胸をわしづかみにして激しくもみ、乳首をクニュクニュとこねくり回してくる。

(ああっ……)

わたしは声が出そうになるのを必死に我慢して、痴漢の手から逃れようと、体をもぞもぞと動かした。
しかし、今までのわたしの行動で、痴漢はわたしを《気の弱い女の子》だと思い込んでしまっている。
逃れようとするわたしの動きは、強気になっている痴漢の欲望を増幅させただけだった。
痴漢は、さらに熱を帯びた手つきで、わたしの胸を強引に責めてきた。

(どうしようっ……あんっ……本物の……ああっ……痴漢だったんだ……)

混乱、恐怖、快感……様々な感情が入り乱れ、わたしの頭の中はめちゃくちゃだった。
声をあげることもできる。
しかし、痴漢=悪とはいえ、わたしが痴漢に対して曖昧な態度を取ってしまったから、行為もここまでエスカレートしてしまったのだ。
こんな計画を立ててしまったこっちにも、罪はある。

(んんっ、あっ、乳首気持ちいい……じゃなくてっ……だまって次の駅で降りよう……)

わたしはそう決心し、それまではこの状況に耐えることに決めた。
そのうちに、痴漢が胸を責めるのをやめた。

(あ……終わり……?)

しかし、そう思ったのもつかの間、痴漢は背後でもぞもぞと動くと、再び、わたしのスカートの中に手を入れてきた。

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